「実家のお墓が遠くてお参りに行けない」「継いでくれる人がいない」。そうした事情から墓じまいを考える家庭が増えています。厚生労働省の統計では、お墓の遺骨を別の場所に移す「改葬」の件数は2024年度に約17.6万件と、統計で確認できる範囲で過去最多になりました。この記事では、墓じまいの意味、手続きの流れ、費用と期間の目安をひととおり解説します。
墓じまいとは
墓じまいとは、今あるお墓を解体・撤去して区画を墓地の管理者(寺院や霊園)に返し、納められていた遺骨を別の場所に移すことです。遺骨を移すことは法律上「改葬」と呼ばれ、市区町村長の許可が必要です(墓地、埋葬等に関する法律)。
お墓をなくすだけではなく、遺骨の新しい供養先(永代供養墓、樹木葬、納骨堂、別の墓地など)を決めてから進めるのが基本です。
墓じまいを考えるきっかけ
- 実家のお墓が遠く、お参りや掃除の負担が大きい
- 子どもがいない、または子どもに管理の負担を残したくない
- 親族が高齢になり、お墓を継ぐ人がいない
- お寺との付き合い(檀家としての関係)を見直したい
墓じまいの流れ【8ステップ】
| ステップ | やること | 相手 |
|---|---|---|
| 1. 親族と話し合う | 墓じまいをするか、移す先、費用の分担を決める | 兄弟姉妹・親族 |
| 2. 新しい供養先を決める | 永代供養墓・樹木葬・納骨堂などを比べて契約する | 寺院・霊園 |
| 3. 受入証明書をもらう | 遺骨を受け入れることを証明する書類 | 新しい供養先 |
| 4. 埋蔵証明書をもらう | 今のお墓に遺骨が納められていることの証明 | 今の墓地の管理者 |
| 5. 改葬許可を申請する | 改葬許可申請書を出し、改葬許可証を受け取る | 今のお墓がある市区町村 |
| 6. 閉眼供養・遺骨の取り出し | 僧侶に読経してもらい、遺骨を取り出す | 寺院・石材店 |
| 7. 墓石の撤去・区画の返還 | 墓石を解体し、更地にして返す | 石材店 |
| 8. 新しい供養先に納骨 | 改葬許可証を提出して納骨する | 新しい供養先 |
3〜5の書類の書き方や提出先は改葬許可申請の進め方、必要書類と提出先で詳しく解説しています。
必要な書類
- 改葬許可申請書(市区町村の窓口やホームページで入手)
- 埋蔵証明書(今の墓地の管理者が発行。申請書に記入欄がある自治体もあります)
- 受入証明書(新しい供養先が発行)
- 申請者の本人確認書類、場合によっては墓地使用者の承諾書
様式や必要書類は自治体によって異なるため、事前に窓口かホームページで確認しましょう。
費用の目安
墓じまいの総額は、おおむね35万〜150万円が目安とされます。内訳は大きく次のとおりです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 墓石の解体・撤去 | 1㎡あたり8万〜15万円程度 |
| 閉眼供養のお布施 | 3万〜10万円程度 |
| 離檀料(寺院墓地の場合) | 3万〜20万円程度(義務ではない) |
| 行政手続き | 無料〜数千円程度 |
| 新しい供養先 | 合祀墓なら数万円から、樹木葬は平均71.7万円、納骨堂は平均81.5万円 |
内訳ごとの詳しい解説は墓じまいの費用相場はいくら?内訳別の目安をご覧ください。
期間の目安
話し合いから納骨まで、半年〜1年程度を見ておくと安心です。特に時間がかかるのは、親族の合意づくりと、新しい供養先選び、石材店や僧侶との日程調整です。お彼岸やお盆の前後は工事や法要が混みやすいため、早めに予定を組みましょう。くわしいスケジュールは墓じまいにかかる期間は?で紹介しています。
トラブルを防ぐために
- 親族に黙って進めない:後から「聞いていない」と言われるのが最も多いトラブルです(親族間トラブルと避け方)
- お寺には早めに相談する:いきなり離檀を告げるのではなく、事情とこれまでの感謝を伝えます(離檀の切り出し方)
- 見積もりは複数社で比べる:撤去費は業者によって差が出やすい部分です
よくある質問
Q. 墓じまいは自分だけの判断で進めてもよいですか?
A. お墓の名義人(祭祀承継者)が進めることはできますが、親族が知らないまま進めると後のトラブルにつながりやすいため、事前に相談しておきましょう。祭祀承継者については祭祀承継者とは?で解説しています。
Q. 遠方に住んでいても墓じまいできますか?
A. できます。改葬許可申請は郵送で受け付ける自治体が多く、撤去工事も石材店に任せられます。閉眼供養や取り出しの日だけ現地に行く、という進め方も一般的です。
Q. 何から始めればよいですか?
A. まずは親族への相談と、移す先の候補探しから始めます。移す先が決まらないと書類がそろわず、改葬許可の申請ができないためです。
まとめ
墓じまいは、親族の合意、新しい供養先の決定、改葬許可の申請、墓石の撤去という順で進めます。費用は35万〜150万円程度、期間は半年〜1年程度が目安です。まずは家族で話し合い、移す先の候補を比べるところから始めましょう。移す先の選び方は永代供養とは?樹木葬・納骨堂との違いと選び方で紹介しています。
参考にした情報
- 厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例」(埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数)
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」
- 株式会社鎌倉新書「【第17回】お墓の消費者全国実態調査(2026年)」

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